ハチナナハチハチ

サンジューがきみにやってくる。世代(87、88)きっかけウェブマガジン。あたりまえを、おもしろおかしく

記憶って凄いんだなぁ。

音ひとつ、そのものが記憶だったりする。





蝉が鳴いている。

ジリジリ遠くの方で鳴いている。

ツクツクまた遠くでは鳴いている。

夕焼けがやがてやってくる手前。

風はやさしく、そよそよ吹いている。

日差しも弱まり、といっても真夏日だから、ほんのり暑い。

目に見えるすべての緑が、夜の闇に向けて準備をしている。





蝉の鳴き声は、記憶そのもの。

幼い頃、それは夏休み。

蝉をおっかけ、一日中かけて緑を駆け回った。

ランニング姿、にじむ汗をぬぐいながら。

誰か隣にいたな。

あの友人はどうしているのだろうか。

たくさん走り回ったあとは、公園で水浴びをした。

勲章としての虫かごをそばにおきながら。

いつの間にやら水浴びから水遊びへ変わっていた。

なんであんなにも水だけではしゃげたのだろう。

かごの中の虫たちも呆れてたに違いない。

....





蝉の鳴き声がフィナーレを迎えるのか、その勢いが増した。

もう聞き取れないほどの音が幾つも重なり合っている。

音は記憶、そのものが記憶。

また明日、また来年、そして数十年後、鳴く蝉の声はいったい何を甦らせてくれるのだろうか。


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