「なるほど」
この言葉を巷でよく耳にする。「そうかー」と納得できる使い方もあるが、たいてい違和感を覚えてしまう。
おそらくそれは、なるほどを使う関係性にあるだと思う。なるほどは"上から目線"で使う言葉だろう。だから年下であったり、接客を受けて際に店員が、多用するとなぜかイラっとしてしまうのか、その理由にも腹オチする。
実際に調べてみると、まずそもそも敬語ではない。”会話中の相手に対しての同意を示す”ときに使われる言葉だそう。でもなぜ気に障ることがあるのか。さらに調べてみると、ふむふむと納得がいった。
「なるほど(成る程/成程)」は"相手の発言に対して評価をした上で合意をする"表現となるので、相手に失礼に当たるときがある。んー確かに「なんでお前に評価されんといけんのか」ってことだろう。もし丁寧に(特にビジネスライクであれば)「仰る通りです」が適切な表現だ。
テレビ番組なり、信頼ある先輩・上司が使っていて、”カッコいい”との憧れで使用しているのか。ただそれも、どちらかと言うと"自分よりの言葉"であって、相手を気遣っての言葉ではないんだろう。自分が属するコミュニティでは「なるほど」がクールかもしれないが、少し違った場にいけばバッドになることを知っておかなければならない。それが節度だろう。
「なるほど、ね」×
「なるほどですね」
前述の通り、「なるほど」だけでもイライラ要素を持ち合わせているだけに、「ですね」が加わってもその破壊力は変わらない。むしろ増しているかもしれない。「なるほど+そうですね」の省略形なのだろうか。
よく家電量販店でスタッフに商品について話を聞いていると「なるほどですねー、であれば...」と言われることがある。先程の「なるほど」の解釈を例に意味を汲み取り、受け取ってみると「勝手に評価してんじゃねぇよ、しかもですねってなんだ!ですねって!なんか変なのがくっ付いてるぞ!」と心で雄叫びをあげる状況が生まれかねない。慎まなければならぬ関係であれば「なるほど」も「なるほどですね」も極力使わないことだ。逆に相手を軽く見下したければ、何気に使えばいい。
「なるほどですねっ」×
さいごに
どうだろうか。口癖で「なるほど」「なるほどですね」と使ってはいないだろうか?もっと突っ込むと、意外にその頷いて受け止めるタイミングも苦手な人が多いかもしれない。あまりにも、「なるほどなるほど」と連呼されると「何がなるほどなのか?」と相手を疑ってしまうこともある。適度な受け止めが必要不可欠、ってことなのだろう。「はいっ」「はいっ」とやたら連呼される感覚と近いかもしれない。これは怒りの度を過ぎると笑いに変わるレベルだが。
個人的には、「なるほど」は口語よりも文語で使われる言葉ではないかなぁ、となんとなく思ってもしまう。これはどう考えるか?
反応いただけずとも、身近な言葉だけに、少し考えてみると面白いフレーズだ。基本的に「なるほど」はもうギャグとしてか、かつての『なるほど!ザ・ワールド』の為にあると、ぼくは心得る。
【微妙な関連リンク】
「なるほど○○じゃねえの」の意味と使い方|nanapi http://nanapi.jp/10108/
オオミジャショウゴ
コメント
コメント一覧 (4)
意識しないと、ふと口から出ちゃいますからね。
本人にはその気がなくても、相手をイラつかせたり馬鹿だと思われたり
気がつかないうちに評価されていると思うと怖いです。
急に治すのは困難なので、普段から口癖には注意しなきゃいかんと思います。
>急に治すのは困難なので、普段から口癖には注意しなきゃいかんと思います。
全面的同感です。無意識的に口ぐせになっていると余計怖いです。
どれだけ自分の扱うことばに注意を払えるかが、実は他の人への配慮につながるんだと僕自身サービス業でこっぴどく体に染み込まされました。
ただついついだらしなくなってしまう時も。。日々ことばをいたわりたいです。
言葉は文化であり、使う人の心を表すものですから大切にしたいものです。
言葉の誤用や酷い乱れはメディアの影響が非常に大きいと思います。
知らず知らずのうちに刷り込まれてしまうので注意が必要です。
名詞はともかく、動詞や形容詞など解り易い日本語表現をせず、わざわざ調べなければ正確な意味がわかり難い外来語由来のカタカナ言葉を多用している方も多く見受けますが、
このような風潮もTVなどから刷り込まれたものと思われます。
義見教育機関の教職員の方ですら聴くに堪えない不思議な日本語を発している現状、どうしたら日本の良質な文化を保つことが出来るか考えると頭が痛いです。